日が暮れる頃、散歩に出た。

暗い海へ出た。
風が強い。波が高い。

「気持ちいいねえー」

奥さんは「男と女」をスキャットし出した。

ダバダバダ
ダバダバダ

ダーバーダー

ダバダバダ
ダバダバダ

海の色が濃い。

ルールールールー
ラーララー

「犬がいればばっちりなんだけど」

「どっちに行こうか」

「あっち」

ラーラー
ラララララー

「ここはラでいいのかなぁ。ヤ?」
「さあ」

何か黒いものが落ちている。
近づくと、その黒い影はささっと1mだけ移動して、
また同じようにベタっと座った。
他の動物なら、もっとずっと逃げていく。
猫のこういう態度が大好きだ。

海はずっとゴオーという音をたてている。
ときおり顔に飛沫が飛んでくる。